七月二十七日

 

正直に言って聴診器には性的に興奮します、小学生の時から既にそうでした、あの冷たいのがいつくるのか、いつくるのか…………ア…みたいなその数秒に満たない間の緊張と興奮で心拍数があがりまくるので、わたしは正常に聴診されたことがない、お医者さんごっこをする人の気持ちはわからないけれど、聴診器を所有しています、リットマンの8000円くらいのやつ、隠してたけど、こういうネクラでひきこもり質なやつに小金をもたせると、家で悶々として聴診器やカツラや、マットコート紙や万力や登山グッズなど使わないものを買いまくるからダメだと思う、ちなみに自分で聴診してみた結果、まったく気持ち良くはなかったですが、心拍をきくのは単純に面白いし、そこにはまた別の、一般の方々も感受できる楽しみがあると思います、恋人の鼓動など、真に長く付き合っていきたいなら聴診しておいた方がよいのでは?聴診器は基本的にモノラルなのですが「ステレオフォネット」という型があって、これはなんとステレオで心音がきこえ、かなりすごいらしい、「聴診器ブック」という聴診器の入門書は初版即完、続編の「聴診器ブック extra」(聴診器の正しい使い方DVD付属)が出ているから、この手の輩はけっこういるのかも、なお、実物の聴診器が付いてくる本もあり、安いので買いましたが、付属の機器はあまりよくなかったです、ノイズが多い、ただ、あれは独特といえば独特のノイズですし、その中で小さく響く脈を探して耳を欹てる行為は愛を育むのにうってつけかもしれない、子供を愛せなくなってきたヤングマザーの方はそういう方向からあたってみるのもありかと、行為が愛情を惹起することは多々ある気がします、自分も特に一緒にいる時間が長い人に対しては、内省で鬱々と都合のいい感情だけを増幅させがちですが、そういうのはよくない、まあわたしはあの聴診器はあまり好きじゃなかったけど、もっと病院向けのカタログみたいな本が欲しい、医者には聴診器マニアはほんとうに多いと聞くけど、医者を一人も知らない